落第坊主の履歴書(660)

 山鹿市と言う町に住んで、しかも商店主と言う今までやったこともない立場に
立って、周りの人たちと町を盛り上げねばならない。24時間同じ町に暮らす
と言う事は始めての体験だった。


 マスコミの仕事が中心の時は取材と言うことがあり、しょっちゅう外へ
出掛けており、考えるとサラリーマンと同じで、町に住んでいるとは言え
寝るために帰ってきているだけで、周りの人との交流はほとんどなかった。
それが今回は朝から晩まで商店街の人たちと顔を合わせている。
 店と言うのはいつもお客さんを待つと言う仕事だ。今まではお客さんの
所に出向く(取材がそうだが)と言う仕事だった。これも大きな違いだ。


 確かに店と言うより、私の仕事の関係上”集会所”を作りたいと言う
考えで開店したので、中心は店でいろいろな会合をしたいと思ってのことだったので、
”町の活性化を考える会””ラジオを聞いている人との交流会”その他
もろもろの婦人会の会合を我が店で開いてもらって、それを通して
現在の婦人会の姿を見ることが出来ればと言う考えもあって積極的に
そうした会合を店で開いてもらうようにしていった。こうしたことが
私のこれからのマスコミの仕事に役に立つと思ったからだ。

 それに加えて、より地元に密着した運動を進めたいと思い、今まで
やってきた”童謡を歌う会”の運動を一ヶ月に一回、地元の小屋
八千代座を利用して開催してみたが、なかなか人が集まらないのだ。
なにもマスコミを利用して大勢の人を集めようとは思わない。
歌わなくなった”童謡”をもう一回みんなで歌おうよ、と言う
軽い気持ちでの会合だが、有名歌手が参加すれば集まるのだろうが
たった私一人の声掛けでは人が集まらない。どれもこれも悩みながらの
戦いだった。