落第坊主の履歴書(665)
平成12年に山鹿市でお店を開いてとんでもないお客さんと知り合った。元暴力団の大ボスの人だ。 「オレはもともと村長さんのフアンだったけど、熊本まで会いに行ったら迷惑がかかるだろうと 思って行かなかったが、オレも現役を退いているし 今は山鹿だからな・・・」と言う事で店の常連客 としてほぼ毎日のように来るようになった。 彼はついこの間まで山鹿市議会議員を務めていた男で、山鹿のためにいろいろな事をやってきた 男なのだ。山鹿をどうしたらいいか真剣に考えている男なのだ。 店に来ても毎日のように「山鹿市がどうあるべきか」「日本の政治はなっておらん・・・」 刑務所に入っていた時の生活など、私が知らないことをいろいろと教えてくれた。 彼は時間があるので、ひどい時は5時間ぐらい私とおしゃべりをして過ごすと言うことも あった。近所の商店主から「彼が出入りするから村長さんのお店に益々お客さんがこなくなる」 と言われたものだ。しかし私にとっては毎日真剣な討議がなされ、非常に参考になるのだ。 しかも彼の過去の話は社会を改革する上でまともな意見で、どうしても 話が弾むのだ。 そんじょそこらの政治家ではない。真剣に山鹿の事を、日本の政治を語るのだ。どうやら 議員在任中はそうした事を実行してきたらしいのだ。そんなわけで「もしNさんともう 少し早く知り合えたらぼくの人生も変わっていただろうな・・」と言える仲になっていた。 私自身彼と話すのが楽しみになっていたのだ。 間もなく国会議員選挙が行なわれるが、そんじょそこらの政治家とは全く異なり 庶民の心理をうまくつかみ、それなりの活動が出来る男だった。元暴力団の親分で くくってしまえない存在だった。確かに、彼の車が私の店の前に長時間止まっているのは (身体障害者手帳を持っており、短時間の駐車違反は見逃される身分だったが)問題 だった。マイナス面がある事は承知していたが、追い返すほどの人でもなし、 いろいろな矛盾を抱えながらの彼との付き合いだった。