ラジオ村・村長の旅日記(018)

  学生時代に家族で旅行をした記憶は”疎開”以外全くない。今のように
私たちの世代は家族で旅行するということはほとんどなかった。
 学生を卒業して社会人になって初めての旅行は、いわゆる出張だ。
私の場合は最初の出張が海外旅行で、香港だった。昭和34年だった。
確かやっとジェット機が飛んでいた時だったと思う。見るもの聞くもの
みんな初めての体験でびっくりするばかり。
 街中の看板のすごさ、大きさにまずびっくり。九龍半島香港島の間の
フエリー乗り場に立つと、向かいの香港島のビルにかかげられたネオンの
はでなこと!  しかも日本の企業、日立、松下電器(ナショナル)、ソニー
トヨタ、日産などと言うネオンが輝いているではないか!
 また、階段のところにまで、ソニーソニーソニーと書いてある。
日本では見たこともない広告の氾濫、しかもそのネオンサインの大きい
こと、5割は日本の企業の広告だった。いや、それよりも多かったかも
知れない。それとストリートチルドレンが多かったこと、タクシーで
街中のスナック、バーなどへ行こうものなら、店に入る前に、タクシーの
ドアのところに彼らが群がり、小銭をやらないとセビロなどにガムを
べったり付けられてしまうのだ。なにしろその数が中途半端ではないので
みんなにやるわけにはいかないので、わたらなかったこどもからガムを
つけられるので、ほとんどの場合、店に入ると着ているものの何処かに
ガムが付いていた。