ラジオ村・村長の旅日記(049)

 昭和41年のヨーロッパ珍道中、スイス・ジュネーブを後にして列車でバーゼル
と言う町に向かった。ここはスイス、ドイツ、フランスと三カ国が接するところで
ここで列車を乗り換えてドイツに向かうのだが、国が変わると景色がまるで変わる
と言う現象は列車でなければ経験できない体験だった。
 飛行機の旅ではこんな事はあり得ないが、国境を超えてひと駅通過しただけで
まるで景色が変わるのだ。スイスにいた時はスイスでは木造の家の壁がピンクだったり、
薄い黄色だったりとそれは色とりどりなのに、ドイツへ入ると住宅を囲む塀の色が
グレーになるので暗い感じになる。窓から外を見ているとお天気が変わったのかと
思うほどだ。スイスにいた時は晴れていたのにドイツに入たとたん曇り空になった
と言うくらい変化が激しい。
 しかし人間の感覚はすぐに馴れるので、ドイツの景色として落ち着いた家並み
と言うタッチで受け止めるようになる。こうして列車はフランクフルトに到着した。