ラジオ村・村長の旅歴史日記(176)

  昭和59年5月、熊本に住み始めて4年目になるが
まだまだ熊本の事をそれほど知っているわけでは
ないので機会あるごとに県内をくまなく旅をする
ように心がけていたが、阿蘇の山奥く産山村と
言うところの民宿に泊まることになった。
  当時、民宿も特徴を出さないとお客が来ない
時代になりつあった時だった。そこでこの村では
お祖母ちゃんたちが得意だった漬物を漬けると言う
腕を生かして漬物の里と言うことで売り出して
いた。それを体験してみようと出掛けたわけだが
なんと夜のご飯につけものが20種類くらい
たかな漬けはもちろんのこと、季節の野菜、
果物の皮などを上手に漬けたものがずらっと
並ぶではないか!  見事なものだった。
  それが一軒、一軒味が違うはずで、こうなると
次ぎは別の民宿に泊まらねばならなくなり、
レピーターが増えるようになったと言うでは
ないか!  私たちもやってみたが、確かに
微妙に一軒、一軒味が違うのだ。「あそこの
白菜漬けが私には合う」と言う好みの問題も
加わって、何軒訪ねたことか。泊まるわけには
いかないので、最後は日帰りで昼食を食べに
出掛けてみたり、あそこの味が忘れられないと
同じ民宿にもう一度行くと言うこともあった。
こうしてこの企画は大当たり、他の地区
でも真似をするようになっていった。