ラジオ村・村長の気ままな日記

  最近読んだ本で面白かったのは永井荷風の「日和下駄
(一名東京散策記)」だ。永井荷風がこんなに東京中を
歩いていたとは思わなかった。古い地図を片手に路地を
散策したり、こんなところまでと云う所に出掛けている。
史跡を歩くわけでもなく、東京中の坂、崖、空き地(野原)
を散策しているのだ。
   彼曰く、寺の屋根と緑こそ江戸の景色の原点だと言う。
どんな町にも寺はあり、その敷地には緑があふれている、
崖から遠くを見てもこれらがアクセントのなっている
と云う。まさにその通りだ。それが永井荷風が育っている
間にも塀は壊され、空き地化し、見えていた富士山も
見えなくなりつつあると言う。このままでは扁平な東京に
なってしまうと嘆いている。橋も鉄の橋にかわり、渡し
船はどんどん消え、三味線の音も聞こえなくなる町、
のっぺらぼうの町になり果てるのでは・・・と。
  その通りになっている東京、ローカルの町、みんな
同じ町になると永井荷風は予測していたがその通りに
なっているではないか・・・・。
  こんなにも東京を愛し、こんなにもこまかに東京を歩いた
人はいあないのでは!  私は東京出身だがこれほど歩いては
いない。面白い人だ。機会があったら読まれることを進め
ます。