あんなこと こんなこと(11−258)


   長野県軽井沢と云ったら、明治の時代から
    ”高級別荘地”と云われたところで
     いわゆる旧軽井沢にはそう言う人しか
      住んでいなかった町なのだ。
   私がそこに住んだのは戦争中なので
    そんな雰囲気のところではない。
     別荘にはだれも来ないし、死んだ町だった。
  親戚のつてで、空き家になっていた
     牧場の小屋があったので、そこを
      とりあえず借りて住むと言う状態だった。
   近くには”三笠宮様の別邸”があって
    ここにももちろん宮様は当時現れなかった。
   いまでこそ旧軽井沢と云ったら
    夏休みには多くの人で賑わう銀座だが・・・

    

  当時はまさに生活物資、つまり、魚や、肉や
   タバコや、衣装や、など生活に必要なものを
    売る店が軒を連ねていただけの普通の商店街だった。
  その三笠宮の別邸が目標なので、私が住んでいた
   ところを探してみると、なんと、三笠屋はホテルに
    なったらしいのだが、しかし、その立つ位置が
     なんとなくおかしいし、建物が大きくなっているでは?

    

  よくよく案内板を見ると移築したと書いてあるでは!
     そうだろうな、わたしの記憶に間違いは
       なかった。もっとこじんまりした建物で
        しゃれた造りだったように思う。

     

   すでに何年か前に改築してホテルになり、
    それがさらに700メートル移転した
     と云うのだから、私が持っているイメージ
      とはだいぶ違う建物になっていたが
       存在していたのはうれしかった。