落第坊主の履歴書(698)
平成20年8月再びロシア・ウラジオストックへ行くことになった。5月に 行った時に知り合いになった人から夏のウラジオストックを見にきませんか、 と言うお誘しがあったのと、たまたま安売りキップが手に入ったので行く ことにした。 一人は大学の若手の教授で、お父さんは元船乗りだったという人、一人は ベチック「を経営しているお嬢さん、大学の先生はさすがにエリート、ロシアでも 中流階級に属する人だと言うことだが、その人の別荘を見にゆくことになった。 「さすがに中流階級、別荘を持っているんだ・・・・」と思って案内してもらう事にした。 それはウラジオストックから北へ車で約1時間、分譲別荘地の一角にあった。 空港に近いらしく空には時に飛行機が通過する。国道からちょっと入った所に あるその別荘地には50〜60軒の別荘が建てられていた。その姿は日本とは 全く異なっていた。庶民が気軽に持てる小さな敷地に簡単な家を立てただけの 粗末な家が多かった。 彼女の別荘もそうした一角にあり、門構えは粗末な木戸で、敷地は100 坪くらいだろうか? そこに自分でこつこつと建て立とう木造の小屋より 立派な建物があった。庭にはあらゆる野菜やリンゴなどの果物の木が植え られていて、夏には週末家で食べる野菜はお母さんがみんなここから収穫 したものを家に持ち帰り、市内では野菜などは買っ田子とがないくらい だと言う。別荘と言うより郊外の家庭菜園と言った感じだ。 勿論立派な家もあるが、ほとんどの家は自分でこつこつと建てた木造の 家でいわゆる”別荘”と言うイメージではない。そこにつながる道路も 整備されておらず、泥んこのでこぼこ道が別荘の中を縦横の走っている と言うのが現状だ。 それでも誰でも持てるものではないと、ブチックを経営している彼女は 言う。そうだろう。貧富の格差はかなりあり、そう簡単に別荘を持つわけ にはいかない。 しかしその家はかなり広い家で、台所も二つあり、部屋は一階に2部屋 中二階が作ってあって、そこは納屋みたいになっていた。外にはベランダが あり、庭をみながら今回は紅茶と手作りのケーキをご馳走になった。空気は さすがにさわやかで気持ちよかった。日本のイメージからいくと この程度の別荘をみんなが持てればなと思えるものだった。 しかしそこは行くまでの道には、市内で出る大量のゴミを処分する 償却場があり、そこから出る煙があたり一面に覆い臭いもものすごく 外部の人には見せたくない光景だといっていた。確かに環境としては 決してよいものではないかもしれないが、しかし日本では考えられない ”豊かな”生活と言えそうだ。見栄でも、ステイタスシンボルとしての 別荘ではなく実用的とも言える別件だった。