ラジオ村・村長の旅日記(030)

 菊田一夫作「鐘の鳴る丘」のモデルとなった少年が成長しアメリカに留学し
国語の先生になり日本のお嫁さんを呼び寄せようとしたら、移民法にひっかかり
アメリカに入国出来ない事がわかり、教え子たちがなんとかしなくてはと
当時の大統領に直訴したというので、その様子の取材で我我はアメリカの
彼が勤める高等学校に向かったのだ。
 その学校はシカゴから北に行った、ウイスコンシン洲にあると言うので、
サンフランシスコで乗り換えてシカゴ空港に向かうことになった。とにかく
シカゴの空港で会おうと言うのだ。
 いざシカゴ空港に降り立つとすでに彼はでかい車で迎えにきてくれた。
ここからかなりの距離があるので車に乗れと言うので、カメラマンと二人
彼の車に乗せてもらって現地に行くことになったのだ。当然フリーウエー
なんていう道路を走るのは初めて、飛ばすこと飛ばすこと、何キロで
走っているのかと聞くと、250キロだと言うではないか!
 蒸し暑い日だったので窓を開けようとしたら指が切れると言うではないか・・・。
景色は淡々たるもので別に見るほどのことはなかったが、冷房を掛けていない
割りには少々スースーするのでおかしいなと思ったら、なんとフロントの助手席の
下に穴が開いているではないか!車はシボレーの中古車と言うが、おんぼろの車、
彼の収入ではとても新車は買えないのだろう。「穴が開いているネ・・・」とは
とても言えず、恐ろしい思いをしながら乗っていた。