ラジオ村・村長の旅日記(035)

 会社勤めを卒業しフリーになったのは昭和45年の秋だった。それからしばらくして
毎日映画者と言うところから二本のミニテレビ番組の依頼が飛び込んできた。
一本は全国の温泉を巡るという企画、もう一本は「いこいのフアション」と言う
タレントの普段着の生活をルポするものだった。
  旅に相当するものは温泉巡りの撮影で一ヶ月に一回くらいの割合で
全国の温泉を巡っての撮影旅行だ。私が担当してからは丁度東北地方を廻る
シリーズのものだった。秋も深まり紅葉のシーズンで、仙北線?確か
仙台と山形を結んでいた鉄道の沿線の撮影で、当然温泉ばかりではなく
近くの観光地、景色の良いところも合わせて撮影するので山寺一帯の
温泉を選んで廻るという旅をしたいた。
 私にとっては丁度忙しい時期だったので、この仕事はきつい仕事だが
反面息抜きにもなっていた。下見に行く時間と経費はないので、現地を
見てから構想を練って宿で台本を作らねばならず、温泉を楽しむと言う
雰囲気にはなかなかならないのだが、気分を転換させて適当に楽しんで
いた。進行役は”レナちゃん”と言うモデル志望の若い子で当然スタイルも
良く、そんな彼女を含めてのカメラマンと三人の旅などで宿では夜は
毎晩ささやかな宴会を楽しむという3〜4日の旅だった。
 毎月どこかの温泉に出掛けるのが楽しみになっていたように思う。
東北の温泉は秘湯も含めてほとんど廻った。